独自データ

AI作曲でみんなが
本当に作っている歌とは

2026年10月12日 · 約7分で読めます

AI作曲ツールはどんな使われ方をしているのか。ネット上の記事の多くは推測で語られていますが、私たちは実際の数字を数えてみることにしました。対象は2026年4月3日から10月11日までにEvasongへ届いた作曲リクエスト3,275件で、送信元のアカウントは1,404件です。どんなテーマで歌を作るのか、どんな音を求めるのか、最初の仕上がりに満足できなかったときにどう動くのか。そのすべてを集計しました。

結論を先に言えば、多くの人は自分で書いた歌詞を持ち込み、身近な誰かのことを歌にしています。そして英語以外の言語で歌を作る人が大半でした。

調査結果のポイント

  1. ユーザーの64%が、AIに作詞を任せず、自分の歌詞を貼り付けて作曲したことが少なくとも1回あります。
  2. 最初の1曲を英語以外の言語で作ったユーザーは60%にのぼり、スペイン語だけで19%を占めました。
  3. テーマで最も多いのはラブソング(説明文で依頼された曲の17%)です。次いで友人やパーティー、家族や子ども、ラップ、誕生日が続きます。
  4. スタイル指定で一番多いのはジャンルではなく「声」でした。男性ボーカル指定が25%、女性ボーカル指定が24%です。楽器ではピアノが最多(19%)でした。
  5. 完成した曲を受け取ったユーザーの3人に1人が同じ歌詞でもう一度生成しており、そのうち91%は歌詞ではなくスタイルのほうを変えていました。

歌詞は自分で書いて持ち込む人が多数派

Evasongでは作り方を2通りから選べます。ひとつは曲のイメージを一文で伝えてAIに歌詞まで書いてもらう方法、もうひとつはカスタムモードに切り替えて手元の歌詞を貼り付ける方法です。手軽な一文モードが圧倒的だろうと予想していましたが、結果は違いました。

64%
自作の歌詞を使用
52%
一文で曲のイメージを説明
1,300
歌詞の長さの中央値(文字数)

3分の2近いユーザーが、少なくとも1回は自作の歌詞を使っていました。しかも短いフレーズではありません。投稿された歌詞の中央値は約1,300文字で、3分ほどのフル尺の曲に相当する分量です。歌詞全体の半数は、Verse や Chorus といったセクション名がすでに付いた状態で送られていました。適当な1曲が欲しいのではなく、伝えたい言葉がはっきりあって、それを歌にしたい人たちだと言えます。

どんなテーマで歌が作られているか

曲の内容を自分の言葉で説明した664人について、よく登場したテーマをまとめました。ひとつの説明に複数のテーマが含まれる場合もあります。

テーマユーザーの割合
恋愛・ロマンス
17%
友人・パーティー・お祝い
9%
家族・子ども
9%
ラップ・ヒップホップ
7%
誕生日
7%
失恋・悲しみ
6%
信仰・賛美
5%
結婚式・記念日
2%

浮かび上がるのは、とても個人的な使われ方です。依頼の多くは、恋人や子ども、もうすぐ誕生日を迎える友人など、特定の誰かに向けた歌、あるいはその人について歌った曲でした。結婚式は想定より少なめでしたが、これはラブソングとして説明されるケースが多いためだと考えられます。

どんなサウンドが求められているか

カスタムモードでは、求める音のイメージを自由に書き込めます。実際に書き込んだ754人の指定内容で、多かったものは次のとおりです。

指定内容ユーザーの割合
男性ボーカル
25%
女性ボーカル
24%
ピアノ
19%
アコースティックギター
15%
ドラム
14%
ベース
12%
明るい雰囲気
11%
ロマンチックな雰囲気
11%
エネルギッシュな雰囲気
11%
ミドルテンポ
11%
スローテンポ
10%
バイオリン
10%

目を引く点が2つあります。まず、ジャンルよりも声が重視されていること。誰に歌わせるかは最もよく指定される項目で、男性ボーカルと女性ボーカルの比率はほぼ半々でした。次に、人気の楽器がピアノ、アコースティックギター、バイオリンといった温かみのあるアコースティック系に集中していることです。誰かに贈るための歌が中心なので、クラブ向けのトラックよりバラード寄りになるのは自然な流れでしょう。

数は少ないものの、インストゥルメンタルも安定した需要があります。ボーカルなしの曲を1回以上生成したユーザーは14%で、主に動画のBGMとして使われているようです。

歌の多くは英語以外で作られている

各ユーザーの最初の1曲について、書かれた歌詞または説明文から言語を判定しました。判定できた1,192人の内訳は以下のとおりです。

言語ユーザーの割合
英語
40%
スペイン語
19%
アラビア語・ペルシャ語・ウルドゥー語
10%
フランス語
9%
ポルトガル語
6%
イタリア語
4%
ドイツ語
4%
ロシア語・ウクライナ語
3%
中国語
2%
ヒンディー語
2%

英語以外で書いたユーザーは10人中6人。2位のスペイン語は他を大きく引き離し、アラビア文字を使う言語のグループはフランス語より大きな割合になりました。母国語で歌詞を書くのは少数派どころか、むしろ多数派なのです。最近のAIボーカルはこうした言語の大半に十分対応しており、翻訳した歌詞よりも、最初からその言語で書いた歌詞のほうが自然な仕上がりになる傾向があります。

作り直すのは歌詞ではなくサウンド

自作の歌詞から曲を完成させたユーザーは412人。そのうち34%が、同じ歌詞のまま再度生成していました。再挑戦の前にスタイルの説明を書き換えた人は、その中の91%とほぼ全員です。

つまり、歌詞は自分の力で仕上げておき、AIにはアレンジの聴き比べをさせている、という使い方です。テンポを落としてみる、男性の声を女性に変える、ギターをピアノに替える、といった具合です。最初に出てきた曲は歌詞への最終評価ではありません。サウンドの下書きくらいに考えておくのがおすすめです。

調査方法について

集計の対象は、2026年4月3日から10月11日までにEvasongで行われたすべての音楽生成リクエスト(1,404アカウントから3,275件)です。割合はリクエスト数ではなく人数で算出しているため、極端によく使う1人の影響で結果が偏ることはありません。扱ったのは集計値のみで、個々の歌詞やプロンプト、楽曲を引用・公開することは一切していません。

テーマと言語はキーワードの一致で分類しています。そのため、これらの数値は厳密なカウントではなく、おおよその推定値としてご覧ください。また、スタイルを何も選ばなかった場合は生成側が自動で「Pop」を入れる仕様のため、この初期値はスタイル分析から除外しました。スタイルに関する数値は、ユーザー自身が入力または選択したものだけに基づいています。

データからわかる、次の1曲を作るコツ

1
自分の言葉から始める
大切にしたいフレーズがあるなら、そのまま貼り付けましょう。多くのユーザーがそうしており、伝えたかったことがそのまま歌になります。
2
最初に声を決める
男性、女性、子どもの声のどれにするかを真っ先に選びましょう。曲の印象を最も大きく左右する要素で、だからこそ最も多い指定になっています。
3
セクション名を付ける
Verse、Chorus、Bridge と書き分けておくと、どこでメロディを盛り上げ、どこを繰り返すかがAIに伝わります。すでにユーザーの半数がこの書き方をしています。
4
スタイルは短く具体的に
楽器を2〜3つ、それに雰囲気とテンポを添えるだけで十分です(例:ピアノ、バイオリン、ロマンチック、スロー)。形容詞を長々と並べるよりうまくいきます。
5
作り直すなら歌詞よりスタイル
最初の曲がしっくりこないときは、スタイルの要素をひとつだけ変えて再生成してみてください。歌詞を書き直すより、楽器やテンポを入れ替えるほうが早く解決することがほとんどです。

よくある質問

ラブソングです。曲の内容を説明した人のうち17%が恋愛やロマンスをテーマにしており、2番手の「友人・パーティー向けの歌」や「家族・子ども向けの歌」のおよそ2倍にあたります。
どちらでも作れますが、ユーザーの64%は少なくとも1回、自作の歌詞を選んでいます。特定の相手や場面に向けた歌なら、自分の言葉を使うことで特別な1曲になります。アイデアしかない段階なら、一文で説明してAIが書いた歌詞を手直しするのが近道です。
はい、歌えます。今回のデータでは、最初の1曲を英語以外で作ったユーザーが60%で、スペイン語、アラビア文字の言語、フランス語、ポルトガル語の順に多くなっていました。歌詞は翻訳せず、その言語で直接書くと最も自然に仕上がります。
2026年4月3日から10月11日までにEvasongで行われたすべての音楽生成リクエスト(1,404アカウント、3,275件)です。使用したのは集計値のみで、個々のコンテンツは公開していません。
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